大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和26年(ネ)1445号 判決 1952年6月01日

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

控訴人訴訟代理人は、原判決を取消す、被控訴人が昭和二十四年九月七日附でなした別紙目録記載の土地建物に対する農地法による買収計画を取消す旨の訴願裁決はこれを取消す、訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする、との判決を求め被控訴人訴訟代理人は控訴棄却の判決を求めた。

当事者双方代理人の事実上の陳述は、原判決事実摘示記載のとおりであるから、ここにこれを引用する。

(立証省略)

理由

先ず被控訴人の主張する本件訴の利益欠缺の妨訴抗弁について按ずるに、右抗弁の理由のないことは、原判決理由中でこの点に関し説示してあるとおりであるから、ここにこれを引用する。

次に別紙目録記載の宅地及び建物について、長野県上伊那郡中箕輪町農地委員会が昭和二十三年十一月九日買収計画を樹立してから、その公告、縦覧期間、訴外向山巻雄よりの異議申立、異議申立の却下、これに対する右向山の訴願、並びに被告がこの訴願を容れて前記買収計画を取消す旨の裁決をなしたことにつき、控訴人が主張する事実は、被控訴人においても争わないところである。

ところで控訴人は、右宅地建物を右向山巻雄より全部賃借しているので、昭和二十三年十一月自作農創設特別措置法第十五条に基ずき買収の申請をしたから、前記買収計画が樹立せられたのであつて、右買収計画は正当なものであるに拘らず、被控訴人がこれを取消した裁決は、控訴人主張の如き(一)(二)(三)の各点において違法不当の処分であるが故に、これが取消を求めると主張する。然しながら、控訴人主張の如き点において前記裁決が違法不当であるということは、謂い得ないのみならず、むしろ前記買収計画そのものが違法不当であり、これを取消した被控訴人の裁決が正当であることについては、原判決理由中にくわしく述べているとおりであつて、それ以上つけ加えていうこともないから、ここにこれを引用する。

よつて右裁決の取消を求める控訴人の本訴請求を棄却した原判決は相当であつて、本件控訴はその理由がないからこれを棄却すべきものとし、訴訟費用について民事訴訟法第九十五条第八十九条を適用して、主文のように判決する。(昭和二七年六月一日東京高等裁判所第五民事部)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例